新入社員の皆さん、夏のビジネススタイルに「クールビズ」という言葉を聞いて、どんなイメージをお持ちですか?
「ノーネクタイ、ノージャケット」は知っていても、具体的に「何を着ればいいのか誰か教えてほしい!」と感じている方もいるかもしれませんね。
私も新入社員の頃は、職場の「クールビズ推奨」という曖昧な規定に戸惑い、先輩社員を見習うのが精一杯。

自分に合った着こなしを見つけるまでにはずいぶん時間がかかったものです。
実は、クールビズは単なる軽装ではありません。地球温暖化対策の一環として生まれ、今では私たちの働き方やライフスタイルそのものに深く関わる重要な要素となっています 。
この記事では、新入社員の皆さんがクールビズの基本から、時期、マナー、そして周りから浮かず「だらしなく見えない」ジャケットの選び方まで、私の経験と具体的なアドバイスを交えながら徹底的に解説。
具体的なアイテム選びや着こなし術については、別の記事で詳しく紹介していますので、そちらも合わせてご覧ください。この記事を読めば、夏のビジネスシーンでスマートに振る舞い、あなたのビジネスセンスを光らせるためのヒントが得られるはずです。
クールビズとは?その誕生と背景を理解しよう
「クールビズ」という言葉は、今や夏のビジネスシーンでは当たり前のように使われています。まずは、クールビズの基礎知識から確認していきましょう。
クールビズの定義と目的

クールビズは、環境省が2005年(平成17年)から提唱している、地球温暖化対策の一環としてのライフスタイルです 。
その目的は、夏の過度な冷房に頼らず快適に過ごすことで、電力消費を抑え、二酸化炭素(CO2)排出量を削減することにあります 。
具体的には、冷房時の室温を28℃に設定し、その温度でも快適に執務できる軽装が推奨されています 。ノーネクタイやノージャケットが代表的ですが、単なる服装のカジュアル化に留まらず、多様な工夫を通じて省エネルギーを目指す広範な取り組みを含んでいます 。
クールビズ誕生の背景と進化
クールビズは2005年、京都議定書発効を契機に提唱されました 。
環境省の公募で「涼しい」「格好いい」を意味する“クール”と“ビジネス”を組み合わせた造語「クールビズ」が生まれ、その年の流行語大賞にもノミネートされるほど浸透。

“クール”と“ビジネス”を掛け合わせた造語なんて安直すぎて、ちょっと笑ってしまったのを覚えています。
でも今では、すっかり定着しましたね。
2011年の東日本大震災による電力供給逼迫を受け、さらにカジュアルな服装も容認する「スーパークールビズ」が登場 。
近年は、脱炭素社会を目指す「デコ活」の一環として、サステナブルファッションとの連携も進められています 。
新入社員が知るべきクールビズの「時期」と「マナー」

クールビズの歴史的背景が分かったところで、次に新入社員の皆さんが最も気になる
「いつからいつまで着ればいいの?」
「どんな服装がマナーに合ってるの?」
といった実践的な疑問にお答えします。
クールビズの一般的な期間と注意点
クールビズの主な期間は、一般的に5月1日〜9月30日とされています 。ただし、これはあくまで目安であり、期間は年によって変動する場合があります。

期間は実に、半年近く。そう考えると服装についてじっくり考える価値はあります。
重要なのは、明確な法的拘束力があるわけではない、という点です 。各企業や自治体の裁量に委ねられているため 、職場によって開始時期や終了時期、許容される服装の基準が異なることがあります。梅雨の時期や残暑など、その年の気候によっても柔軟な対応が求められるでしょう。
職場の「空気」を読む重要性
新入社員の皆さんにとって、最も難しいのが「職場の雰囲気に合わせる」ことだと、私も自分の経験から痛感しています。
私の新入社員時代、職場の規定は「ノーネクタイ、ノージャケット推奨。室内気温は28℃以上に設定すること」としかありませんでした。

これでは、どの程度までカジュアルなスタイルが許されるか分かりませんよね……
先輩たちに倣うのが精一杯で、明文化されておらず個人の裁量にゆだねられていることにはわだかまりを覚えました。
正直、身も蓋もないことを言えば、上司や先輩に直接聞くのが一番手っ取り早いです。もし聞きづらいなら、周りの先輩方の服装をよく観察し、各アイテムのカジュアル度合いを覚えて合わせるのが良いでしょう。

例えば、私は5年ほど前、ポロシャツを着て出社したところ、職場のトーンから浮いてしまった経験があります。しかし、コロナ禍を経て、今ではポロシャツを着てくる同僚もちらほら見かけるようになりました。服装規定が更新されたわけではないのに、です。

いかに服装の基準がファジーで「空気」に左右されるか、という証左です。
結局のところ、どんなにクールビズに最適な服装だとしても、周りから浮いてしまうようでは、仕事着としてはふさわしくありません。
まずは周りの先輩方の服装をよく観察し、それに合わせていくことが基本です。迷ったら、周りより一段階フォーマル寄りにすれば、まず間違えることはないでしょう。
クールビズにおける「だらしなく見えない」マナーの基本

ノーネクタイ、ノージャケットが基本となるクールビズですが、ただ単にスーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを外すだけでは、「だらしなく見える」印象を与えかねません 。新入社員の皆さんがプロフェッショナルな印象を保つために、以下のマナーを心がけましょう。
- 清潔感の徹底 夏場は汗をかきやすいため、清潔感を保つケアが非常に重要です。ノージャケットで服装がシンプルになった場合、シャツのシワはより目立ちやすくなります。だらしない印象を与えないよう、アイロンがけを徹底し、清潔感を保つことが重要 。こまめな洗濯やクリーニングで汗ジミを防ぐことも大切です。制汗シートやタオルを携帯し、こまめに汗を拭き取ることを心がけましょう。
- サイズ感の重要性 スーツスタイルにおいても、クールビズにおいても、服のサイズ感は非常に重要です。だらしなく見えないためにも、肩や身幅、丈がしっかり合ったアイテムを選ぶようにしましょう。
- 露出度の管理 スーパークールビズではポロシャツやアロハシャツも容認されますが 、ビジネスシーンに不適切な露出度の高い服装や、だらしなく見える服装は避けるべきです 。胸元が大きく開いたトップスや、ミニスカートなどは厳禁です 。
- インナーへの配慮 Yシャツの下に着るインナーは、首元から見えないV型やU型のものを選び、透けにくい素材や色(ベージュやライトグレーなど肌色に近いもの)を選ぶとスマートです 。

このあたりの肌着選び、本当に悩みますよね。
私もいろいろ試してきましたが、詳しくは別記事で、実際に使ったアイテムやコツを紹介しています!
新入社員のためのクールビズ服装実践ガイド
クールビズの基本的な知識とマナーを理解したところで、ここからは具体的な服装選びのポイントについて触れていきましょう。より詳細なアイテムの選び方や着こなし術は、それぞれのテーマに特化した記事で詳しく解説していますので、そちらをぜひ参考にしてくださいね。
アイテム別「カジュアル度」早見表:これで職場の「空気」を読み解く!
「職場の空気」を読むのがクールビズの肝だとお伝えしましたが、具体的にどのアイテムがどのくらいカジュアルなのか、迷うこともありますよね。そこで、私が考える各アイテムの「カジュアル度」を段階別にまとめました。
この表を参考に、あなたの職場の「空気」に合わせた服装選びをしてみてください。基本は「周りより一段階フォーマル寄りにする」のがおすすめです。
【上半身アイテムのカジュアル度】
フォーマル度 高 ↑ | アイテム名 | 特徴・選び方のポイント |
◎ | 白いビジネスシャツ(ブロード) | きめ細かく光沢感のある生地で、最もフォーマルな印象を与えます。清潔感が命。 |
〇 | オックスフォードシャツ | 厚手でカジュアルな風合いがありますが、ボタンダウンならビジネスでも許容範囲。 |
△ | ポロシャツ | 吸湿速乾性に優れ、快適。職場によってはOKですが、フォーマル度は低め。 |
✕ | カットソー | Tシャツ素材のトップス。基本的にはビジネスシーンでは避けるべきアイテム。 |

【下半身アイテムのカジュアル度】
フォーマル度 高 ↑ | アイテム名 | 特徴・選び方のポイント |
◎ | ウールのスラックス | 最もフォーマルで、ビジネスシーンの基本。夏用は薄手で通気性の良いものを選びましょう。 |
〇 | コットンスラックス | ややカジュアルな印象ですが、落ち着いた色味とプレスでビジネスにも対応可能。 |
△ | チノパンツ | 職場や業界によっては許容されますが、色やシルエットに注意が必要。 |
✕ | ジーンズ | 基本的にビジネスシーンではNG。カジュアルなオフィスでも避けるのが無難。 |

フォーマル度 高 ↑ | アイテム名 | 特徴・選び方のポイント |
◎ | ドレスシューズ | 革靴の基本。ストレートチップやプレーントゥなど、シンプルで光沢のあるものが◎。 |
〇 | ローファー・スリッポン | 紐のない革靴。上品さは保ちながら、紐靴よりカジュアルです。クールビズスタイルにはぴったり。 |
△ | レザースニーカー | 革素材のスニーカーで、比較的きれいめな印象。職場によってはOK。 |
× | 非レザースニーカー | キャンバス地やメッシュ素材など。カジュアル度が高く、基本的にはビジネスNG。 |
【靴のカジュアル度】
詳しい着こなし術やアイテム選びはこちら!
クールビズの服装は、ただ単に「ノーネクタイ、ノージャケット」にするだけでは、だらしない印象を与えてしまう可能性があります 。どうすればスマートに見えるのか、具体的な着こなしやアイテム選びのポイントを知りたいですよね。
実は、優れたクールビズは専用の夏向けアイテムで構築されるべきなんです。特に「素材感」は非常に重要。
シャツの選び方、パンツの種類、小物合わせ、そして暑い夏を快適に乗り切るための素材選びなど、皆さんが知りたい具体的な情報はこちらの記事で徹底解説しています。ぜひ、合わせて読んでみてください。
詳細はこちら:
ベスト(ジレ)活用術:ジャケットなしでも「きちんと感」を出す

クールビズで「ジャケットを着ていると暑すぎる、しかしシャツ1枚だとどうしてもしまりがない…」そう思う方には、ベスト(ジレ)が非常におすすめです。
ベストは、ジャケットを脱いだ状態でも胸元に適度な厚みと立体感を与え、シャツ一枚の時よりも格段にきちんとした印象になります。
クールビズ期間中、クライアントとの軽い打ち合わせや社内での移動時に活用すると、スマートな着こなしになるでしょう。
ベストの選び方や着こなし、おすすめブランドについては、別記事で詳しく解説していますので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
【男性向け】夏こそ履きたい「ビジネス用ステテコ」活用術

夏のビジネスシーンで意外と快適さを提供してくれるのが「ビジネス用ステテコ」です。私も以前は偏見がありましたが、その快適さから今では愛用しています。
ユニクロのエアリズムステテコやグンゼのアセドロンステテコなどがおすすめです。
場面別!新入社員のためのクールビズ「ジャケット」活用術
クールビズはノーネクタイ、ノージャケットが基本ですが、ビジネスシーンではやはりジャケットが持つ「きちんと感」は非常に重要です。
新入社員の皆さんが「だらしなく見えない」ためには、場面に応じたジャケットの活用がカギです。
「ジャケットは常に用意する」が鉄則

私の経験から、特に新入社員の皆さんには「ジャケットは常に用意しておく」ことを強くお勧めします。クールビズ期間中であっても、基本的には色で遊ばないこと、そしてジャケットを着るだけで、驚くほどフォーマルな印象になります。
フォーマルな場は室内であることが多く、室温設定にもよりますが、ジャケットを着ても耐えられないほどではないはずです。
夏用ジャケットの選び方

通年もののスーツのジャケットをそのまま着るのではなく、クールビズ期間には「夏用のジャケット」を用意するのがおすすめです。
- 素材: サマーウールがおすすめですが、軽さとコストを考慮するならポリエステルでも良いでしょう。通気性や吸湿性に優れた素材を選ぶことで、快適さが格段に上がります。
- 仕立て: 背抜き(裏地が背中の上部しかない仕様)で、軽量なものが涼しく着られます。
- デザイン: あまり肩のラインが丸くない、カジュアルさのないデザインを選びましょう。ビジネスシーンにふさわしい、きちんとした印象を保つことが大切です。
TPOに応じた着こなし術:迷ったら「ジャケット着用」が基本

新入社員にとって、TPO(時・場所・場合)に応じた服装の判断は難しいものです 。迷った時に失敗しないための基本ルールを覚えておきましょう。
- 社内でのデスクワーク: 多くの会社では、社内でのデスクワーク時は上着なしで問題ありません。しかし、急な来客や上司との面談に備え、ジャケットはすぐに羽織れる場所に置いておくのが良いでしょう。
- 外での移動中・昼休憩: 電車やバスでの移動中、特に暑い日は上着を脱いでも問題ありません。昼休憩もリラックスタイムとして上着を脱いで過ごせます。
ただし、目的地に着いたら建物に入る前に上着を着用したり、社外で食事をする場合はレストランの雰囲気や同行者に合わせて判断したりするなど、状況に応じた配慮が必要です。
- 顧客や取引先への訪問・重要な会議: 原則として、ネクタイ・ジャケット着用が基本スタイル 。相手から軽装を提案された場合を除き、正装で臨むのが無難とされています 。特に初対面の相手には、フォーマル寄りの服装が信頼感を与えるため、準備を怠らないことが重要です 。
これは、スキルや経験が不足している新入社員の皆さんが、プロフェッショナルとしての第一印象を形成する上で極めて重要な要素となります。
まとめ:クールビズの未来と新入社員への提言
クールビズは、単なる夏の軽装キャンペーンから、地球温暖化対策、省エネルギー、そして人々の健康と快適な働き方を両立させるための重要な社会システムへと定着しました 。
これからの時代を担う新入社員の皆さんにとって、クールビズの真の意義を理解し、スマートに実践することは、ビジネスパーソンとしての重要なスキルとなるでしょう。
大切なのは、クールビズを「軽装OK」という安易なものと捉えるのではなく、その背景にある社会的意義と、ビジネスシーンにおけるTPOの重要性を深く理解することです。

覚えておきたいのは「少しだけフォーマル寄りにしておけば、まず間違いないよ」ということ。
見た目も気持ちも整えて、安心して仕事に集中できるようにしましょう。
上司や先輩に直接聞くのが一番ですが、それが難しい場合は、周りの「空気」を読み、各アイテムのカジュアル度を把握して、一段階フォーマル寄りの服装を選ぶ。
この柔軟に適応する能力こそが、皆さんのビジネスキャリアを豊かにするはずです。
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