【導入文】 20代も後半に差し掛かり、仕事にも慣れてスーツの着こなしにこだわりが出てきた。「もっと格好良くスーツを着こなしたい…」そう思い始めたあなた、足元は本当に今のままで大丈夫でしょうか?
これまで100足以上の革靴に足を通してきた私が声を大にして言いたいのは、
「靴は主役ではない」
ということ。スーツという主役を静かに引き立て、全体の雰囲気を格上げしてこそ、良い革靴と言えるのです。
この記事では、そんな私の経験から導き出した、スーツスタイルを成功させるための革靴選びの「絶対の基本」を、哲学も交えて徹底的に解説します。
この記事を読めば、もう「なんとなく」で靴を選ぶことはなくなり、自信を持ってあなたのスーツスタイルを格上げする一足を選べるようになります。
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目次
まずは自己診断|あなたの靴、こんな「NG例」になっていませんか?
本格的な解説の前に、まずはご自身の足元をチェックしてみてください。 良かれと思ってやっているその組み合わせ、実は全体の印象を損ねているかもしれません。
失敗例1:靴だけが浮く「明るい茶靴」

ネイビースーツやグレースーツに、明るい茶色の革靴を合わせたスタイル。お洒落に見えることもありますが、一つ間違えると危険な組み合わせです。特に、ベルトやカバンは黒のままなのに、靴だけが明るい茶色…これでは統一感がなく、足元だけが浮いて見えてしまいます。
失敗例2:悪目立ちする「主張の激しいデザイン」

つま先が極端に長かったり(ロングノーズ)、スワールトウと呼ばれる細長いデザインだったり。こうしたデザインは靴自体の主張が強く、スーツの品格よりも靴の印象が勝ってしまいます。結果として、ちぐはぐで落ち着きのない雰囲気に見えてしまうのです。
失敗例3(番外編):だらしなく見える「大きすぎサイズ」
「少し大きめの方が楽だから」と、サイズの合わない靴を履いていませんか?甲に不自然なほど深いシワが入り、見た目がだらしないだけでなく、歩き方が不安定になり体にも悪影響です。スーツ姿の基本は、ジャストサイズの靴選びから。
最重要の哲学|革靴は「スーツのテイスト」に合わせるのが全て
色やデザインのルールも大切ですが、私が考える最も重要な哲学。 それは「スーツが持つテイストに、靴のテイストを合わせること」です。

例えば、結婚式にも着ていけるような、光沢のあるドレッシーな生地のスーツ。これには、同じく光沢がありドレッシーな革靴が似合います。
逆に、秋冬向けの少し起毛したフランネル素材のスーツには、靴もスエード素材などで少しだけ柔らかさを加えると、調和がとれます。
この「テイストを合わせる」という軸さえ持っていれば、これから解説するルールがより深く理解でき、応用も利くようになりますよ。
【まずここから!】スーツに合わせる最初の一足は「黒の内羽根ストレートチップ」
では、具体的にどんな靴から揃えるべきか。 もしあなたが、これからビジネス用の革靴を本気で揃えようと思うなら、最初の一足は「黒の内羽根ストレートチップ」をおすすめします。

これが、数ある革靴の中で最もフォーマル度が高いデザインだからです。 重要な商談や会議といったビジネスシーンはもちろん、冠婚葬祭といったフォーマルな場面でも唯一無二の安心感を与えてくれます。
かっちりとしたスーツに、丁寧に磨かれた黒のストレートチップを合わせている姿。様々な靴を履いてきましたが、やはりその姿が、最も潔く洗練されて見えるような気がします。まずはこの一足を揃えておけば、あらゆるシーンであなたの足元を支えてくれるはずです。
【実践編】スーツの色とデザインで選ぶ、正しい組み合わせ
基本の一足を手に入れたら、次はバリエーションを増やしていきましょう。 ここでは、ビジネススーツの定番である「ネイビー」と「グレー」のスーツに絞って、正しい組み合わせを解説します。
①色で選ぶ|ネイビースーツ・グレースーツとの相性
黒の革靴

ネイビー、グレーどちらのスーツにも合う基本の色。最もフォーマルで、誠実かつ真面目な印象を与えます。迷ったら黒を選んでおけば間違いありません。特に重要な会議や、お客様への訪問時には最適です。
茶色の革靴(濃茶)

ネイビーやグレーのスーツに合わせると、お洒落で柔らかな印象になります。黒に比べると少しカジュアルダウンしますが、親しみやすさを演出したい日にはぴったり。ただし、**「ダークブラウン」**を選ぶのがポイントです。
②デザインで選ぶ|フォーマル度の序列を理解する
スーツに合わせる靴は、デザインのフォーマル度を理解するのが近道です。 以下に、スーツスタイルに適したデザインを、フォーマル度の高い順で紹介します。
ストレートチップ
つま先に一本線の切り替えが入ったデザイン。文句なしに最もフォーマルです。

【豆知識】 実は、内羽根ストレートチップよりもさらにフォーマル度が高いとされるのが「内羽根のプレーントゥ」です。これはフォーマルシーンで履かれる靴で、ビジネスシーンではまず見かけません。ビジネスにおいては「ストレートチップが実質的な最上位」と覚えておけば問題ありません。
ホールカット

一枚の革で贅沢に作られた、非常にドレッシーなデザイン。縫い目が極端に少ないため、エレガントで洗練された印象を与えます。特別な一足として持つのも良いでしょう。
プレーントゥ

つま先に装飾のない、シンプルなデザイン。ストレートチップに次ぐフォーマルさを持ち、ビジネスシーンでの汎用性は抜群です。シンプルゆえに、革の質や作りの良さが際立ちます。
モンクストラップ

バックルで甲を留めるデザイン。紐靴よりはカジュアルな出自ですが、その華やかさとドレッシーさから、現代のビジネススーツとは好相性。着脱が楽なのも嬉しいポイントです。
ブローグ(穴飾り)のある靴
ストレートチップなどのドレッシーな靴に比べるとフォーマル度は下がりますが、ブローグ(穴飾り)のある靴もスーツスタイルの素晴らしい選択肢になります。堅い印象になりすぎず、ほんの少しだけ足元に華やかさを与えてくれます。代表的なデザインには、以下のようなものがあります。
セミブローグ:

ストレートチップに、穴飾りを施したデザイン。フォーマルさと装飾性を両立した、非常にバランスの取れた一足です。
フルブローグ(ウィングチップ):

つま先の切り替えが翼(W)のように見えるデザイン。華やかで存在感があり、カントリー由来のためカジュアル度は高めですが、フランネルなど少しリラックスしたスーツと好相性です。
アデレードブローグ:

靴紐の周辺がU字型に縁取られた、上品なデザイン。ブローグの中でも特にエレガントな印象を与えます。
【補足】Uチップやローファーについて これらのデザインは、よりカジュアルな印象を与えます。スーツに合わせる着こなしは難易度が高く、基本的には「ジャケパンに合う革靴」で解説したような、ジャケパンスタイルで真価を発揮する靴だと考えておきましょう。
【まとめ】
今回は、スーツスタイルを格上げするための、革靴選びの基本について解説しました。 最後に、大切なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 革靴選びで最も重要なのは「スーツのテイストに合わせること」
- 靴は主役ではなく、スーツを格上げする名脇役と心得る
- まず最初のステップは「黒の内羽根ストレートチップ」を揃えること
- デザインはフォーマル度の序列を理解し、ブローグなどで華やかさを加えるのも選択肢
この基本を押さえれば、あなたのスーツスタイルは確実にランクアップします。 自信を持って、日々の着こなしを楽しんでくださいね。
足元の準備が整ったら、次は具体的なブランド選びが気になりますよね。こちらの記事も、ぜひ参考にしてみてください。
また、手に入れた大切な一足を長く愛用するためには、日頃のお手入れが不可欠です。こちらの記事で、初心者でもできる簡単なケア方法をご紹介しています。
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