飲み会の座敷が憂鬱なあなたへ。脱ぎ履きの面倒さを解消する革靴をご紹介

革靴の脱ぎ履きにもたついている シーン別・目的別スタイル提案

忘年会シーズンが到来しました。ビジネスマンにとって避けては通れないのが、取引先との会食や同僚との飲み会です。

お店選びで「個室あり」の条件を見ると、脳裏をよぎるのが「座敷」や「掘りごたつ」の二文字ではないでしょうか。

私たち革靴愛好家にとって、靴を脱ぐシチュエーションは鬼門です。

玄関先で紐をほどくのにもたつき、帰りもまた紐を結ぶのに時間がかかり……。

背後で上司や取引先を待たせているあの数秒間、なんとも気まずいですよね。

「きちんとした品格のある格好をしたい。でも、脱ぎ履きに手間取るのはスマートじゃない…」

この二律背反に悩む日本のビジネスマンに向けて、今回は「品格」と「実用性」を両立する、賢い革靴の選び方をご提案します。

ジャストサイズ信仰のジレンマ

そもそも、なぜ私たちはこんなにも靴の脱ぎ履きに苦労するのでしょうか。

それは、私たちが革靴に対して真摯だからに他なりません。

本格的なドレスシューズの基本は、足の形に合ったジャストサイズを選び、羽根をしっかりと閉じて紐を結ぶこと。

そうすることで初めて、革靴は第二の皮膚のように足に吸い付き、極上の歩き心地と美しいシルエットを生み出します。

つまり、「正しく履けば履くほど、脱ぎ履きは面倒になる」のです。

革靴は、そもそも脱ぎ履きの少ない欧米文化の産物です。
我々日本のビジネスマンの文化とマッチしないのは仕方ないと言えばそうかもしれません。

サイズの大きな革靴

世間を見渡せば、脱ぎ履きしやすいようにと、あえて1サイズ以上大きな靴を選んだり、紐を緩めたまま履いているビジネスマンも少なくありません。

しかし、かかとが浮いてパカパカと音を立てる足元は、美観を損ねるだけでなく、靴の寿命を縮め、何より足の健康によくありません。

「脱ぎ履きのためにフィット感を犠牲にする」

これは、オーセンティックなスタイルを愛する私たちにとって、受け入れられがたい妥協です。

安易な「楽な靴」への警鐘

では、どうすればいいのか。

ここで注意したいのが、量販店などでよく見かける「脱ぎ履きしやすさだけに特化した靴」の存在です。

アッパーの目立つ位置に無骨なゴムが入っている靴や、いわゆる「餃子靴」と呼ばれるようなスリッポン。

ギョウザ靴
イメージ

確かにこれらは便利かもしれません。しかし、スーツの足元に合わせるにはあまりにチープで、大人の品格を損なってしまいます。

「楽」をとって「品格」を失っては本末転倒です。

私たちが求めるのは、ドレスシューズとしての美しいデザインコードを守りつつ、日本の「座敷文化」にも対応できるギミックを備えた靴です。

幸い、靴の歴史の中には、そんなわがままな願いを叶えてくれる名品たちが存在します。

歴史と品格ある「脱ぎ履きしやすい靴」4選

ここからは、紐をほどく手間がなく、かつビジネススタイルにふさわしい「賢い靴」を紹介していきます。

1. サイドエラスティック(レイジーマン)

サイドエラスティックシューズ

最もおすすめしたいのが、このサイドエラスティックシューズです。

一見すると格式高いオックスフォード(紐靴)のように見えますが、
実は紐は飾り(イミテーション)。
履き口の横に伸縮性のあるゴム(エラスティック)が仕込まれており、靴ベラ一つでスッと足を入れることができます。

この靴には「レイジーマン(Lazy man=怠け者)」という通称があります。
かつて英国貴族が、毎朝靴紐を結ぶのを面倒がって、オーダーメイドで作らせたのが始まりだとか。

「怠けるために、最高の技術で靴を作らせる」

そんな英国的なユーモアと美学が詰まった靴で、快適な飲み会を実現しましょう。

2. モンクストラップシューズ

シングルモンクストラップシューズ

修道士(モンク)が履いていた靴を起源とするモンクストラップも有力な候補です。

特に、バックルの留め具部分にゴム(エラスティック)が内蔵されているタイプが実用的。
これなら、バックルをいちいち外す必要はありません。
適度なホールド感を保ちつつ、スリッポンのように脱ぎ履きが可能です。

シングルモンクならよりドレッシーに、ダブルモンクなら華やかな印象になります。
紐靴に次ぐフォーマル度を持つため、スーツスタイルとの相性も抜群です。

3. サイドゴアブーツ(チェルシーブーツ)

冬の忘年会シーズンでは最強かもしれません。
サイドゴアブーツです。

くるぶし部分にゴムを配したこのブーツは、脱ぎ履きのしやすさが最大の魅力。

「スーツにブーツ?」と懸念される方もいるかもしれませんが、裾を被せてしまえば、見た目はシンプルなプレーントゥの革靴と変わりません。

ヴィクトリア女王のために考案されたという出自を持ち、フォーマルな場でも着用が許される稀有なブーツです。

足首まで覆われるため防寒性も高く、底冷えする居酒屋の下駄箱前でも寒くありません。

4. ローファー

もし、その日の飲み会が「ジャケパン」や「セットアップ」といった少し砕けたスタイルなら、ローファーの出番です。

「怠け者(Loafer)」の名を持つ通り、脱ぎ履きのしやすさは随一。

ただし、スーツに合わせる場合は注意が必要です。
カジュアルすぎる印象を与えないよう、ノーズが長めのものや、黒のカーフ素材など、ドレッシーな雰囲気のものを選ぶのがポイントです。

それと、冬に履くとやや寒々しさを感じるかも。季節感は大事にしましょう。

靴ベラを持とう

携帯用靴ベラ

最後に、これらの靴を履きこなすための必須アイテムについて触れておきます。 それは「携帯用シューホーン(靴ベラ)」です。

いくら脱ぎ履きしやすい靴といっても、手を使わずにかかとを無理やり押し込んだり、つま先でトントンと蹴り込むのはNG。

大切な靴のかかと(ヒールカップ)を潰してしまっては、せっかくの美しいフォルムが台無しになります。

飲み会の席で、ポケットからサッとレザー巻きや真鍮製のマイ・シューホーンを取り出し、スマートに靴を履く。

スマートで格好いい所作だと思います。

同僚が靴紐と格闘している間に、涼しい顔で準備を終える。
これこそが、大人の余裕というものでは?

まとめ:賢い靴選びで、飲み会のストレスはなくせる

「お洒落は我慢」という言葉がありますが、ビジネスシーンにおける不要なストレスは、パフォーマンスを低下させるノイズでしかありません。

日本のビジネスマンにとって、飲み会や座敷は避けて通れない文化。
だからこそ、真正面から戦うのではなく、「サイドエラスティック」「サイドゴアブーツ」といった頼れる相棒の手を借りて、軽やかに乗り切るのが正解です。

今年の冬は、脱ぎ履きのストレスから解放され、スマートに、そして格好良く、美味しいお酒を楽しみましょう。

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