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なぜ私はRAYMARの靴選びに“後悔”したのか
なんだか最近、客先で靴を脱ぎ履きする場面が増えてきた。

スーツにも合わせられる、品の良いスリッポンはないかなあ……
漠然とそう考えていた矢先のことです。
以前からずっと気になっていたブランドがありました。
静岡県焼津市に拠点を置く「RAYMAR(レイマー)」。
コスパが高いと、ネット上の評判はすこぶる良い。しかし、D2C(オンライン直販)がメインのため、なかなか実物を手に取る機会がありませんでした。興味はありつつもやや距離を感じていたこのごろ。
そんな折、RAYMARが大阪のLUCUA 1100(ルクア イーレ)に常設店を出店したということを知り、店舗へ向かいました。


もっと早く試しておけばよかった
試着してそう思いました。
この記事では、なぜ私が、そう後悔するほど感動したか、その理由を私が購入した一足、レイジーマンシューズ「JAMES」を通して解説します。
RAYMAR、オススメです。
RAYMAR「JAMES」のスペック紹介

まずは、今回レビューする靴の客観的な情報を見ていきましょう。
スペック | 詳細 |
モデル名 | JAMES(ジェームス) |
デザイン | セミブローグ・レイジーマン |
ラスト(木型) | 6673 (チゼルトウ / ワイズEE) |
購入サイズ | US7.5 (普段、革靴は25.5cm(UK7)、一般的なスニーカーは26.5cmを選ぶことが多い私で、ジャストサイズでした。 国内の標準的な革靴のサイズ感に近い印象です。) |
製法 | グッドイヤーウェルト製法 |
アッパー | 牛革 (ブラック) |
ソール | ビブラム社製スタッドソール |
購入価格 | 39,000円(税込)※2025年時点 |

私が感動した3つの理由(メリット)
では、私がこの靴を購入するに至った、具体的な3つの理由を解説します。
① 予想を超えた、木型「6673」の優れたフィット感

RAYMARの靴を試着して、最も驚いたのが木型の完成度の高さでした。
今回購入した「JAMES」に採用されている木型「6673」は、つま先がシャープなチゼルトウ。見た目の印象はコンパクトですが、タイトすぎたりどこか1点が圧迫されるようなことがありません。
それでいて、土踏まず部分はしっかりと持ち上げられ、小さめに設計されたヒールカップが踵を確実にホールドしてくれます。
歩行時に踵が浮く感覚はありません。 (これは、レイジーマンというデザインの特性であるサイドのゴムが、フィット感を補助している影響もあるかもしれません)
総じて、私の足には申し分ないフィット感でした。履き込んでもこの印象が変わらなければ、同じ木型で他のモデルの購入も検討するでしょう。
より高価格帯の、特に海外ブランドには、足を立体的に捉え、複雑なねじれを加えた木型も存在します。
私もそうした靴を何足か所有していますが、このRAYMARの履き心地は、それらと比較しても遜色ないと感じました。
もちろん、私の足に合っているという点が大きいですが、それを差し引いても、この価格帯でこのフィット感を実現しているのは特筆すべき点です。
② オンオフ問わない、計算されたデザインの妙
レイジーマンという選択も、今回は正解でした。
【コラム】そもそも「レイジーマンシューズ」とは?
「レイジーマン(怠け者)」というユニークな名前とは裏腹に、実は非常にエレガントで由緒正しい革靴の一種です。
一見すると紐靴ですが、サイドに伸縮性のあるゴム(エラスティック)が隠されており、靴紐を解かずにスリッポンのように簡単に脱ぎ履きできるのが最大の特徴。

靴を脱ぐ機会の多い日本のビジネスシーンでは、この機能性が最大限に活きます。サイドゴムと聞くとカジュアルに思えるかもしれませんが、見た目のフォーマル感は犠牲になっていません。
まさに「いいとこ取り」の革靴なのです。
「JAMES」は、コンパクトなフォルムと四角いトウ(チゼルトウ)によって、全体的にドレッシーな雰囲気をまとっています。
しかし、セミブローグの穴飾りが、その印象を程よく和らげてくれる。これにより、スーツスタイルから休日のジャケパンスタイルまで対応できる、懐の深い一足に仕上がっています。
個人的には、デザインとして省略されがちなダミーレースがきちんとついている点にも、作り手のこだわりを感じて好感が持てます。

③ 3万円台でこの作り込み。納得のコストパフォーマンス
これだけの要素が詰まって、価格は39,000円(税込)。これは納得感の高い価格設定です。
堅牢なグッドイヤーウェルト製法、雨の日でも気兼ねなく履けるラバーソール、そして何より、ストレスのない履き心地を実現する完成度の高い木型。これらがこの価格で手に入るのであれば、コストパフォーマンスは良いと言えるでしょう。

購入前に知っておきたい注意点(デメリット)
もちろん、良い点ばかりではありません。公平を期すために、購入前に知っておくべき注意点も共有します。

- アッパーの革について アッパーに使われているのは「上質な牛革」とされており、詳細は不明です。イルチアやアノネイといった著名タンナーの高級皮革のような、吸い込まれるようなきめの細かさはありません。
しかし、クリームを入れればきちんと光沢が出ますし、履きジワも自然で好印象です。価格を考えれば、実用十分な品質と言えるでしょう。 - フィット感の個人差 私がこれほど感動したのは、木型「6673」が「私の足に」合ったからです。これは当然ながら、万人に当てはまるわけではありません。
RAYMARは自宅で試着できる「アシーレ」という便利なサービスも提供しています。購入を検討する際は、まずご自身の足との相性を確認することをおすすめします。
結論:RAYMAR「JAMES」は、どんな人におすすめか?

以上の点を踏まえ、このRAYMAR「JAMES」は、次のような方にこそおすすめできる一足だといえます。
- 仕事で靴の脱ぎ履きが多く、楽でありながらフォーマルさも失いたくない人
- トレンドに左右されない、堅実で長く使える一足を求めている人
- コストは抑えたいが、靴のフィット感には妥協したくない人
私自身、オンラインが中心のブランドということで、試着するまで少し躊躇していた部分がありました。

しかし、実際に足を入れてみて、その考えは覆されました。
もしあなたがかつての私のように、RAYMARが気になりつつも一歩を踏み出せずにいるのなら、ぜひ一度、その足で試してみてください。
きっと、その完成度の高さに驚くはずです。
【番外編】こだわり派向け:3日間プレメンテナンスについて

最後に、番外編として、私が行った少し本格的なプレメンテナンスについて触れておきます。
3日間という時間をかけてじっくり革に潤いと油分を浸透させ、しなやかで最高の状態で履き下ろすことを目的としています。
- 1日目:リセットと保湿 まずはクリーナーで工場出荷時のクリームなどを落とし、デリケートクリームを靴の内と外に塗り込み、革を潤します。
- 2日目:補油 次に、タピール社のレザーオイルを全体に薄く塗り込み、革に必要な油分を補給します。
- 3日目:仕上げ 最後に、油性の靴クリームで全体を磨き上げ、ツヤと保護膜を作って完成です。
各工程で時間を置いてじっくり浸透させるのがポイントです。もちろんここまでこだわる必要はありませんが、やってみれば驚くほど革がしなやかになるのがわかるでしょう。
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